1976年秋、京大の学園祭で荻野らの手による、つかこうへいの名作「熱海殺人事件」を見る。感動のあまり、3回見て全て台詞を覚えたという鮮烈な登場をした。
が、しかし。
いまや、人の名前が覚えられない。
普通名詞すら思い出せない。
苦悩をありのままつづった、「ロッキーの主演俳優」は満劇を代表とするひとり芝居の名作となる。
大学時代は、ドイツ文学を専攻。ドイツ文学がいかに物の役に立たないかを語らせたらこの人の右に出る人はいない。ドイツ語会話も使う場所が無く、たまたま日本で道に迷った、英語の話せないドイツ人と巡り会う日を待ち続けている。
満員劇場御礼座の笑いの2/3を引き受ける一方で、短編を主として作演出も行う。
本業はTVCMの企画。アイデアに窮すると、すぐに自分がでるためその声、顔はTVでもよく流れていた。
発想とファッションセンスに現れる変わらぬ若さは、「永遠の予備校生」との賞賛を浴びている。
自分が出ない満劇を、ゆっくりと楽しみたいとの願望もむなしく、
2001年秋は、この人が(なんと始めての)主役になる。